助産師（Midwife）は、妊娠期の健康管理・出産時のケア・産後の母子支援までを担う専門職です。オーストラリアでは、助産学単独（Bachelor of Midwifery）と看護＋助産のダブル資格（Nursing/Midwifery Double Degree）という2つの進学軸が確立しており、AHPRA（看護・助産師規制機構）認可のコース修了が登録要件の大枠です。
本稿では、大学留学を前提に入学要件（特にIELTS基準）・代表的な開講大学・出願準備を、当センター視点でわかりやすく整理します。
まずはポイント
- 助産学士はIELTS Academic 7.0（各7.0）が一般的な入学基準。
- 留学生向け助産学単独コースは枠が少なく競争的。
- 看護＋助産のDouble Degree（4年）も選択肢。
- 大学院の助産学は原則、豪州RN/永住者を対象（留学生は不可が通例）。
助産師の役割（オーストラリアの臨床現場）
- 妊娠期：栄養・運動・メンタルを含む健康指導、妊婦健診の支援
- 分娩期：分娩介助、医療的判断のトリアージ、母体安全管理
- 産褥期：母乳育児指導、産後の身体・心理サポート、乳児ケア指導
助産師は「赤ちゃんを取り上げるだけ」ではなく、妊娠初期〜産後までの継続的ケアを担う専門職として高い職能が求められます。
進学ルートは大きく2つ
1) 助産学のみで学ぶ（Bachelor of Midwifery／3年）
- AHPRA認可のMidwifery学士を修了 → 助産師登録への申請資格
- 留学生受入の座席が少なく、入学競争が非常に高い
- 英語要件はIELTS Academic 7.0（各7.0）が通例（入学前に満たす必要あり）
2) 看護＋助産のダブルディグリー（4年）
- 看護学士＋助産学士を同時取得できる一部大学の統合プログラム
- AHPRA認可コースであれば、看護師と助産師の二資格申請が可能
- 入試難度は高め。準備期間に余裕を持つのが得策
日本で看護／助産を修了済みの方へ
日本の学位・資格のみで豪州助産師登録へ直接移行するのはハードルが高いのが現実です（同等性判定・英語7.0各セクション・詳細書類一式が必要）。豪州の認可学士課程へ進学する方が、時間・リスク両面で現実的なケースが多いです。
入学要件（傾向）と選考で見られる点
- 英語：IELTS Academic 7.0（各7.0）が一般的基準
- “Foundation／Diploma経由でも入学時点で各7.0”が求められるのが原則
- 学力要件：高校成績または準備課程（Foundation／Diploma）既定到達
- 理系科目（生物・化学・物理 など）の基礎到達が望ましい場合あり
- 選考姿勢：学修一貫性・志望動機・医療適性・臨床適応性（面接・書類）
代表的な開講大学（留学生受入のある例）
※年度により受入状況・学費は変動。以下は代表的な構成例（学部名・期間・入学期・要件の傾向のみを記載）です。出願時は必ず最新条件を確認してください。
助産学単独（Bachelor of Midwifery／3年）
- University of South Australia（アデレード）
- 2月入学／IELTS Academic 各7.0の傾向
- Foundation／Diploma経由または同等学力
- Flinders University（アデレード）
- 3月入学／IELTS Academic 各7.0の傾向
- Foundation経由または看護・助産関連の学修履歴が評価される場合あり
- The University of Queensland（ブリスベン）
- 2月入学／IELTS Academic 各7.0の傾向
- 理系基礎科目の成績を重視する年も
- Southern Cross University（ゴールドコースト）
- 2月入学／IELTS Academic 各7.0の傾向
- 高校評定の基準提示やDiploma of Health経由の案内あり
- Charles Darwin University（ダーウィン）
- 2月入学／IELTS Academic 各7.0の傾向
- 学力査定は個別確認が原則
看護＋助産のダブルディグリー（4年）
- Deakin University（メルボルン）
- 3月入学／IELTS Academic 各7.0の傾向
- Edith Cowan University（パース）
- 2月入学／IELTS Academic 各7.0の傾向
- 付属カレッジDiploma経由ルートの年もあり
- The University of Queensland（ブリスベン）
- 2月入学／IELTS Academic 各7.0の傾向
- UQ Collegeの準備課程が接続として提示される場合あり
大学院の助産学について
Graduate Diploma／Master of Midwifery Practice等は、豪州RN（正看護師）資格保有者・豪州国籍／永住者等を対象に開講されるのが通例で、留学生は原則出願不可。
留学生が豪州で助産師登録を目指す場合は、学士課程（Bachelor）から設計するのが基本ルートです。
座席数と競争性
- 助産学単独の留学生枠は非常に限られる → 早期設計が必須
- 英語各7.0の達成に時間を要するため、逆算スケジュールで準備
- 同一レベルの語学コースを延々と繰り返すより、EAP→学部と段階設計
出願準備チェックリスト
- 英語試験：IELTS Academic 受験（目標：各7.0）
- 学力書類：英文の卒業・成績証明（高校／大学）、シラバスが必要な場合も
- 身分書類：パスポート、学歴ギャップがある場合は職歴証明
- 志望理由：医療適性・学修一貫性・将来像を英語で提示
- タイムライン：入学期の6–12か月前に出願開始が安全圏
追加で必要になる可能性
- 予防接種記録、無犯罪証明、健康診断等（臨床実習の要件）
予算の考え方（目安の枠組み）
- 授業料：大学・年度で変動（Midwiferyは看護より高めの傾向も）
- OSHC（留学生保険）：在学期間をフルカバー
- 生活費：都市差が大きい（住居・交通・食費）
→ 学費は毎年改定されるため、志望校・入学期で個別見積りが必須です。
よくある質問（FAQ）
Q. IELTS各7.0を満たさないと出願できませんか？
A. 多くの大学が「入学時点で各7.0」を要件化。Foundation／Diploma経由でも英語要件は免除されないのが一般的です。
Q. 日本の助産師資格で豪州登録に切り替えられますか？
A. 同等性審査・高スコア英語・大量の英文書類が必要で、難易度は高いのが実情。豪州の認可学士を修了するルートが現実的です。
Q. 競争が厳しい時の代替は？
A. Double Degree（看護＋助産）や看護学士→助産へ進路変更の長期設計、キャンパス・入学期の再設計など、複線化した出願が有効です。
当センターのサポート（無料）
- 大学選定と要件整理（AHPRA認可確認／英語・学力条件の棚卸し）
- 出願書類の英語添削（Personal Statement／CV／推薦状）
- パスウェイ設計（EAP／Foundation／Diplomaの適用可否）
- 学生ビザ（Subclass 500）申請支援（GSステートメント含む）
- 現地到着後サポート（住まい・銀行・携帯・医療実習の実務準備）
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