オーストラリアの大学で心理学を学びたい、将来サイコロジストを目指したい、あるいは「人の心」について専門的に学んでキャリアに活かしたい――こうしたご相談が、ここ数年で日本でも確実に増えています。
オーストラリアは心理学分野の教育水準が高く、学部(Bachelor)から大学院(Master / Doctoral)まで一貫した体系が整っているのが特徴です。本記事では、オーストラリア大学留学専門サポートセンターの視点から、心理学専攻の基本情報、サイコロジストのなり方、学び方のパターン、代表的な大学の例を整理してご紹介します。
サイコロジストとは?
心の悩みや心の病気を扱う専門家は、英語でサイコロジスト(Psychologist)と呼ばれます。オーストラリアでは医療系の国家資格として位置づけられており、心理アセスメント(検査・面接)やカウンセリング、心理療法などを通して、クライアントの状態を把握し、回復や安定に向けて支援していく専門職です。
活躍の場は、病院やメンタルクリニックといった医療現場に限られません。たとえば、
- 学校や大学のカウンセリングルーム
- 企業の人事・組織開発(メンタルヘルス、ストレスマネジメント)
- 刑務所や更生施設
- 福祉・児童保護・高齢者ケアなどの公的機関
- スポーツチームやアスリートのメンタルサポート
など、社会のさまざまな領域にも広がっています。その中で、カウンセリング心理、健康心理(ヘルスサイコロジー)、スポーツ心理、組織心理など、専門領域ごとに細かくキャリアが分かれていくのがオーストラリアの特徴です。
サイコロジストと精神科医の違い
よく混同されがちなのが、「サイコロジスト」と「精神科医(Psychiatrist)」の違いです。
- サイコロジスト(Psychologist)
心理学の専門家として、心理検査・カウンセリング・心理療法などで支援する立場。医学部卒業は必須ではなく、心理学系の学位と専門的なトレーニングを経て資格登録されます。 - 精神科医(Psychiatrist)
医師として医学部を卒業し、精神科領域のトレーニングを受けたうえで、薬物療法を含む医療行為を行う立場。必要に応じて入院や薬の調整など、医療的なアプローチを中心に担当します。
実際の現場では、症状や状態に応じて、
- サイコロジストによるカウンセリングを中心とした支援
- 精神科医による薬物療法
- 両者がチームとなり心理療法と薬物療法を組み合わせるケース
といった形で連携が行われることが一般的です。
オーストラリアでサイコロジスト登録を目指す場合の学びの流れ
オーストラリアで「登録サイコロジスト」として働くには、一定のステップを踏む必要があります。細かな制度はアップデートされることがありますが、イメージとしては次のような流れです。
進路イメージ 1
- 学士課程(心理学専攻) 3年
- 心理学 Honours(優等学位) 1年
- サイコロジストとして仮登録
- 修士課程(臨床心理学など) 2年
- サイコロジストとして正式登録
進路イメージ 2
- 4年間の Bachelor of Psychology (Honours) コース
- サイコロジストとして仮登録
- 修士課程 2年
- サイコロジストとして正式登録
最短でも6年程度の学習期間が必要になるため、
- サイコロジスト資格を取り切りたいのか
- 心理学を学んだ上で他のキャリアに活かしたいのか
によって、選ぶべきコースや大学は変わってきます。
また、将来的にサイコロジスト登録を選択肢として残しておくのであれば、オーストラリア心理学認定協議会 Australian Psychology Accreditation Council(APAC)の認定コースを選ぶことが重要なポイントになります。
「資格までは決めていないが心理学を学びたい」というケース
一方で、
- 心理学には強い興味があるが、サイコロジストを職業として目指すかはまだ決めていない
- 人事・教育・福祉・マーケティングなど、他分野の仕事に心理学を活かしたい
- まずは学部レベルでしっかり心理学を学び、その後の進路を考えたい
という方も少なくありません。
その場合、まずは3年間の学士課程で心理学を中心に学び、「Honours に進んで大学院・資格ルートを目指すか」「他分野の修士やキャリアに進むか」を途中で判断する形が一般的です。オーストラリアの大学はこのようなルート変更にも柔軟に対応しやすいカリキュラム設計になっています。
人文社会学部・サイエンス学部で心理学を学べる代表的な大学
オーストラリアの大学では、「心理学部」として独立した学部に進むだけでなく、人文社会学部(Bachelor of Arts)やサイエンス学部(Bachelor of Science)の専攻の一つとして心理学を学べる大学も多くあります。
イメージとして、
- 心理学部:心理学中心に専門科目を集中的に学ぶ
- 人文社会学部/サイエンス学部:心理学+他分野を自由に組み合わせる
という違いがあります。「心理学も学びたいけれど、他の分野も並行して学びたい」という方には、人文社会学部・サイエンス学部での心理学専攻も人気です。
メルボルン大学
オーストラリアでも心理学分野の評価が高い大学の一つで、人文社会学部(Bachelor of Arts)とサイエンス学部(Bachelor of Science)のどちらからでも心理学専攻を選択できます。Arts では社会学・言語学・哲学などと組み合わせやすく、Science では統計・神経科学・生物学など理系科目との組み合わせがしやすい構成です。
クイーンズランド大学
Bachelor of Arts/Bachelor of Science の両方で心理学を選択可能。専攻の選択肢が非常に多く、「心理学+犯罪学」「心理学+社会学」「心理学+経済学」など、自分の関心に合わせた組み合わせがしやすい大学です。ファウンデーション/ディプロマ経由や、一定の高校成績・IBスコアを満たせば直入学が目指せるルートも用意されています。
西オーストラリア大学
全豪トップ8大学(Group of Eight)の一つで、パースという落ち着いた都市環境で学べるのが特徴です。Bachelor of Arts と Bachelor of Science それぞれで心理学関連科目を履修でき、Honours や大学院に進むための土台作りにも向いています。
オーストラリア国立大学(ANU)
首都キャンベラにある研究大学で、Bachelor of Arts / Bachelor of Science で心理学を学べるほか、4年制の Bachelor of Psychology (Honours) も開講しています。研究寄りの進路や将来的な大学院進学を早い段階から意識している学生に人気があります。
ラ・トローブ大学
人文社会学部・サイエンス学部に加え、心理学に特化した Bachelor of Psychological Science も開講している大学です。福祉・教育・健康科学などとの連携も強く、「心理学+福祉」「心理学+教育」などのキャリアを考えている方に向いています。
心理学部(Psychology / Psychological Science)で専門的に学べる大学
心理学を「数ある専攻の一つ」として学ぶのではなく、専門職としてのキャリアも視野に入れながら、できるだけ深く学びたい方には、Bachelor of Psychological Science / Bachelor of Psychology など心理学部(または心理学専攻の専門学位)を持つ大学がおすすめです。
ディーキン大学
Bachelor of Psychological Science を開講し、犯罪心理学、子どもと家族の心理、組織心理など、応用領域につながる科目も充実しています。健康科学ディプロマからの編入ルートもあり、日本の高校卒からでもステップを踏んで進学しやすい構造です。
グリフィス大学
ゴールドコーストおよびブリスベンキャンパスで Bachelor of Psychological Science を提供しています。付属カレッジのディプロマ(Social and Psychological Science)から2年次編入を目指せるルートもあり、英語力や高校成績に不安がある方でも心理学への道を開きやすい環境です。
エディスコーワン大学
パースにキャンパスを持つ実践志向の大学で、Bachelor of Psychology を開講。健康科学やコミュニティ分野と紐づいた科目も多く、地域社会に根ざした心理支援に関心がある方に向いています。ディプロマ経由の編入ルートも用意されています。
フリンダース大学
アデレードに位置し、心理学とヘルス・福祉分野に強みを持つ大学です。Bachelor of Psychological Science を中心に、児童・家族支援や地域ケアなど、現場を意識した学びができるカリキュラムが整えられています。
Honours(優等学位)コースについて
オーストラリアの心理学では、「Honours(優等学位)」と呼ばれる1年間のプログラムがとても重要なステップになります。一般的には、
- 通常の学士(3年)修了後に、1年の Honours を追加する
- 最初から4年間の Bachelor of Psychology (Honours) に入学する
といった形のいずれかで進むことが多く、大学院進学やサイコロジスト登録を視野に入れる場合、この Honours の成績が大きな評価材料になります。
代表的な大学としては、カーティン大学、アデレード大学、スウィンバーン工科大学などが Bachelor of Psychology (Honours) を提供しており、研究志向・専門職志向いずれの学生にとっても重要なステージとなっています。
オーストラリア大学留学専門サポートセンターの無料相談について

オーストラリア大学留学専門サポートセンターでは、オーストラリアの心理学専攻やサイコロジストを含むメンタルヘルス分野への進学について、無料でご相談を承っています。
- APAC 認定コースを含む大学・コース選び
- 「心理学+他分野」を含めた専攻の組み合わせ提案
- ファウンデーション/ディプロマ/大学直入学など、学力・英語力に応じた進学ルート設計
- IELTS など英語試験のスコア目標と学習ステップの相談
- 出願書類の準備サポート(成績証明・卒業証明・志望理由など)
- 渡航後の都市選び、生活準備、滞在先についてのアドバイス
心理学は、興味の範囲が広く、
- カウンセラーになりたい
- 人事や教育に活かしたい
- まずは心の仕組みをしっかり学びたい
など、目指す方向も人によってさまざまです。当センターでは、その段階も含めて一緒に整理しながら、最適な大学・コースをご提案しています。
オーストラリアの心理学専攻やサイコロジストの道に興味がある方は、まずは無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。まだ進路が固まっていない段階でも大丈夫です。最新の入学基準や学費、各大学の強みを踏まえたうえで、一人ひとりに合ったプランをご案内します。
※本記事の内容は執筆時点の情報をもとにしており、コース概要や入学基準、学費等は今後変更される可能性があります。最新情報は各大学公式サイトにてご確認ください。

