オーストラリアは、広大な土地と安定した輸出産業を持つ「農業大国」です。
日本のスーパーでも、オージービーフや小麦製品、ワイン、フルーツなど、オーストラリア産の食品を目にする機会が増えてきました。
そうした背景から、将来は
- 持続可能な農業や環境保全に関わりたい
- アグリビジネスや食品関連企業でグローバルに働きたい
- 農業とテクノロジー(アグリテック)を結びつける仕事がしたい
といった目的で、オーストラリアの農学系コースへの進学を検討される日本人も増えています。
本記事では、オーストラリア大学留学専門サポートセンターの視点から、オーストラリア農業の特徴、農学で学べる内容、代表的な大学、出願までの流れを整理してご紹介します。
オーストラリア農業の特徴と今後のテーマ
オーストラリアの農業は、統計データに多少の変動はあるものの、概ね次のような特徴があります。
- 国土の半分以上が農業関連の用途で利用されている
- 食料自給率は生産額ベースで100%を大きく超える
- 生産された農産物の多くを輸出し、重要な外貨獲得源となっている
- 肉類・穀物・果物・ワイン・ウールなど、多様な産品を世界市場へ供給している
一方で、世界全体では人口増加・気候変動・水資源の制約など、農業・食料を取り巻く課題も深刻化しています。
そのためオーストラリアの大学では、
- Sustainability(持続可能性)
- Productivity(生産性向上)
- Food Security(食料安全保障)
といったキーワードを軸に、環境負荷を抑えつつ安定的な食料供給を実現する農学教育・研究に力を入れています。
「世界の食を支える農業」「環境と共存する農業」を学べる国として、オーストラリアは非常に魅力的な選択肢と言えます。
農学系で学べる主な分野
オーストラリアの農学系コースでは、伝統的な「農業」の枠を超え、さまざまな分野を横断して学びます。大学によって名称は異なりますが、代表的な領域は次のとおりです。
- Agronomy(作物栽培・畑作)
- Animal Science / Production(畜産・動物科学)
- Horticulture(園芸・果樹・ワイン用ぶどうなど)
- Soil & Plant Science(土壌学・植物科学)
- Agricultural Economics / Agribusiness(農業経済・アグリビジネス)
- Agricultural Technology(スマート農業・精密農業)
- Environment & Sustainability(環境保全・持続可能な農業)
- Food Science(フードサイエンス・食品安全)
こうした科目を組み合わせながら、農場や実験農園、ワイナリー、牧場などでのフィールドワークを通じて学ぶのが、オーストラリアの農学の大きな特徴です。
農学を学べる代表的な大学
QS世界大学ランキング(Agriculture & Forestry 分野)では、オーストラリアの多くの大学が世界トップ200以内にランクインしています。ここでは学士課程で農学関連を学べる代表的な大学を、イメージしやすいようにまとめてご紹介します。
クイーンズランド大学(The University of Queensland)
ブリスベン近郊のガットンキャンパスで、農業・畜産に特化した教育・研究を行っている大学です。
- 学位例:Bachelor of Agricultural Science / Bachelor of Agribusiness
- 特徴:
- 作物栽培学、アニマルサイエンス、園芸学などから専攻を選択
- 農業生産だけでなく、サプライチェーンやアグリビジネスの視点も学べる
- ファウンデーションコースからの進学ルートが整備されており、日本の高校卒からも進みやすい
メルボルン大学(The University of Melbourne)
世界的に評価の高い研究大学で、農地・牧草地・ワイナリーなどを備えた Dookie キャンパスでの実習機会があるのが特徴です。
- 学位例:Bachelor of Agriculture
- 特徴:
- 農業経済、植物・土壌科学、畜産などをバランスよく学べるカリキュラム
- 2年次以降に専門分野を絞り込み、研究寄り・ビジネス寄りなど自分の興味に合わせて深掘り可能
- トリニティ・カレッジのファウンデーションから進学する王道ルートがあります
オーストラリア国立大学(Australian National University)
キャンベラにある研究型大学で、農業を単独学部というより「環境・サイエンス・持続可能性」の枠組みの中で学びます。
- 学位例:Bachelor of Science(Agricultural Innovation 専攻) / Bachelor of Environment and Sustainability
- 特徴:
- 気候変動や水資源、エネルギー問題など、グローバルな農業課題にフォーカス
- 伝統的な農場経営だけでなく「農業×環境政策」「農業×テクノロジー」に関心のある方に向いています
西オーストラリア大学(The University of Western Australia)
小麦や羊などの生産が盛んな西オーストラリア州に位置し、農業・畜産の実務と結びついた学びがしやすい環境です。
- 学位例:Bachelor of Agricultural Science / Bachelor of Science(Agricultural Science, Agribusiness, Agricultural Technology 専攻)
- 特徴:
- 農業生産・農業ビジネス・農業テクノロジーを組み合わせて学べる
- 提携ファウンデーション(UWA College など)からの進学ルートあり
シドニー大学・アデレード大学・マードック大学・タスマニア大学・カーティン大学・西シドニー大学 など
このほか、
- シドニー大学:多様な専攻(畜産、環境経済、フードサイエンス、植物学、土壌学など)を選べる大規模プログラム
- アデレード大学:長期インターンシップを組み込み、ワイン産業を含む南オーストラリアの農業と結びついた学びが可能
- マードック大学:作物・牧草科学と動物科学を組み合わせ、世界人口増加と食料生産の関係を重視
- タスマニア大学:4年制 Honours コースで、作物学・持続可能な農業をじっくり学べる
- カーティン大学:農業科学とアグリビジネスを学べる理系・ビジネス両面のプログラム
- 西シドニー大学:AgriFood をテーマに、食と環境の持続可能性を社会・経済的視点から学ぶ
など、キャンパスのある地域の特色を生かした農学教育が行われています。
「畜産を深く学びたい」「ワイン産業に興味がある」「アグリテックに携わりたい」など、興味の方向性によって合う大学が変わるのが農学系の面白いところです。
どんな人に農学留学がおすすめか
オーストラリアの農学系コースは、次のような方に特に向いています。
- 自然や環境問題、食料問題に強い関心がある
- 将来は農業・食品・種苗・飼料・商社など、食関連ビジネスで働きたい
- 地方創生や地域農業の活性化に貢献したい
- 環境保全と経済活動を両立させる仕事がしたい
- 動物が好きで、畜産やアニマルサイエンスに興味がある
日本の「農学部」というより、「農業×環境」「農業×ビジネス」「農業×テクノロジー」など、複数の領域をまたいだキャリアを考えている方にとって、オーストラリアは非常に相性の良い進学先です。
出願までの基本ステップ
農学系コースへの出願の流れは、他の理系学部とほぼ共通です。
1. 英語力の確認(IELTS / TOEFL)
多くの大学で、IELTS Academic 6.0〜6.5 程度(各セクション一定以上)が目安となります。
条件に満たない場合でも、付属語学学校やファウンデーションコースと組み合わせた「条件付き合格」が利用できるケースが一般的です。
2. 学力要件・進学ルートの検討
- 日本の普通高校卒業 → 提携ファウンデーション/ディプロマを経由して学部進学
- IB など国際資格 → スコアによっては、学部への直接入学も検討可能
同じ農学でも、大学ごとに要求される高校成績や必要科目(数学・理科など)が異なるため、志望校に合わせたルート設計が重要です。
3. 必要書類の準備と出願
一般的に必要となるのは、
- 高校の卒業証明書・成績証明書(日本語+英語)
- IELTS / TOEFL など英語スコア
- パスポートコピー
などです。大学によっては、志望理由を書いたステートメントや、これまでの活動内容をまとめた書類を求められる場合もあります。
オーストラリア大学留学専門サポートセンターの無料相談について

オーストラリア大学留学専門サポートセンターでは、農学・アグリビジネス・環境関連分野への進学について、無料でご相談を承っています。
- 興味の方向性(作物・畜産・環境・ビジネス・テクノロジーなど)の整理
- 農学に強い大学・地域の比較(クイーンズランド、メルボルン、タスマニアなど)
- 日本の高校成績・英語力に合わせた進学ルート(ファウンデーション/ディプロマ/直入学)の設計
- IELTS など英語試験の目標スコアと対策プラン
- 出願書類の準備サポート・出願手続きの代行
- 渡航後の生活準備や滞在先についてのアドバイス
「農学に興味はあるが、具体的にどんな仕事につながるのかイメージできていない」という段階でも問題ありません。一緒に将来像を整理しながら、どの大学・どの専攻が合いそうかを検討していきます。
オーストラリアで農学を学びたい方は、当センターの無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。最新の入学条件や学費、各大学のカリキュラムを踏まえたうえで、一人ひとりに合ったプランをご提案します。
※本記事の内容は執筆時点の情報をもとにした概要です。入学条件や学費などは変更される可能性がありますので、最新情報は各大学公式サイトおよび個別カウンセリングにてご確認ください。

