ユーザーエクスペリエンス・デザイン(UX Design)は、文字どおり「ユーザーの体験そのものを設計する」分野です。アプリやWebサイトの見た目だけでなく、 「使いやすい」「迷わない」「気持ちいい」「また使いたい」と感じてもらえるかどうかに直結する領域で、IT・デザイン・ビジネスが交わる専門性が求められます。
オーストラリアの大学では、UXやインタラクションデザインを学士レベルから専門的に学べるコースが複数あり、デザイン理論に加えてプログラミング・情報設計・ユーザーリサーチ・プロトタイピングなどを体系的に学べるのが特徴です。 オーストラリア大学留学専門サポートセンターとしての視点から、UXデザインの基本と、おすすめの大学コース・進学ルートをご紹介します。
UX・UI・ユーザビリティの違いを整理しよう
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?
UXは一般的に「製品やサービスの利用を通してユーザーが得る体験」と説明されます。少し噛み砕くと、 「ユーザーがサービスに触れ始めてから、利用を終えるまでの感情の流れや印象」そのものです。
同じネットショップでも、
- スマホで見てもレイアウトが崩れず、ストレスなく買い物できる
- 送料や支払い方法が分かりやすく、不安なく購入できる
- 欲しい情報にすぐたどり着け、「ここは信頼できそう」と感じる
といった体験が積み重なることで、「また使いたい」「友だちに勧めたい」というポジティブなUXが生まれます。 UXデザイナーは、こうした体験を意図的に設計していきます。
UI(ユーザーインターフェース)との違い
UI(User Interface)は、ユーザーが直接触れる「見た目」と「操作部分」です。
- ボタンの形・配置・色
- フォントサイズや行間
- メニューの位置やアイコンのデザイン
など、画面上のレイアウトやビジュアルに関わる部分がUIです。UXが「体験全体の設計」だとしたら、UIは「体験の入り口となる接点をどうデザインするか」というイメージです。両者は密接に結びついており、UXを高めるためにUIが重要な役割を担います。
ユーザビリティ(Usability)との違い
ユーザビリティは、「使いやすさ」「迷わず操作できるか」といった観点から製品やサービスを評価する指標です。どれだけデザインが美しくても、
- 目的のボタンがどこにあるか分からない
- 説明文が難しくて途中で諦めてしまう
といった状態ではユーザビリティが低く、結果としてUXも悪化します。
まとめると、次のように整理できます。
- UI:見た目・配置・操作部分のデザイン
- ユーザビリティ:そのサービスがどれだけスムーズに使えるか
- UX:サービスを通じてユーザーが得る体験全体
UXデザインを学ぶということは、UIとユーザビリティを含めた「体験設計」を総合的に学ぶことでもあります。
なぜオーストラリアでUXデザインを学ぶのか
- UX/UI/インタラクションデザインを学部レベルから専門的に学べるコースが複数開講されている
- IT・プログラミング・ビジネスを組み合わせた実践的なカリキュラムが組まれている
- グローバル企業やスタートアップと連携したインターンシップや実プロジェクトが組み込まれている大学も多い
- 英語でリサーチ・プレゼン・プロトタイプ制作を行う経験が、世界中どこでも通用するポートフォリオ作りにつながる
「デザインだけでなく、テクノロジーやビジネスも理解したい」「海外でUXデザイナーとしてのキャリアも視野に入れたい」という方にとって、オーストラリアのUX関連コースは有力な選択肢になります。
オーストラリアの学士課程で学べるUXデザイン関連コース
ここからは、UXデザイン/インタラクションデザインをしっかり学べる代表的な学士課程(3年コース)を紹介します。 数字はあくまで目安であり、最新情報は各大学の公式サイトでの確認が必要です。
メルボルン大学|Bachelor of Design(Computing)
メルボルン大学(The University of Melbourne)は、コンピューティング分野で高い評価を受ける大学のひとつです。 Bachelor of Design(Computing)では、UXに関連する科目に加えて、
- 数学・アルゴリズム・データ構造
- プログラミング基礎
- インターフェース設計・情報デザイン
などを学び、「デザインも分かるエンジニア寄り人材」を目指せるカリキュラムになっています。
- 都市:メルボルン
- 期間:3年
- 入学時期:2月/7月
- 入学要件:Foundation(トリニティ・カレッジなど)修了+所定の成績、IELTS 6.5(各6.0以上)目安
- 認定:ACS(Australian Computer Society)認定コース
日本の高校卒業後は、ほとんどのケースでファウンデーションコースを1年間修了してから学部に進学するルートになります。
スインバーン工科大学|Bachelor of Design(UX Interaction Design)
スインバーン工科大学(Swinburne University of Technology)は、デザインとテクノロジーの融合に力を入れている大学です。 Bachelor of Design(UX Interaction Design)では、
- ユーザーリサーチ・ユーザーテスト
- ワイヤーフレーム・プロトタイピング
- インタラクションデザイン・情報設計
など、UX実務に直結するスキルを段階的に身につけていきます。
- 都市:メルボルン
- 期間:3年
- 入学時期:2月/7月
- 入学要件:日本の高校卒業資格、IELTS 6.0(各5.5以上)目安
- 認定:一部IT関連領域でACS認定
英語や成績に不安がある場合は、付属英語学校や提携カレッジでのPathwayコースを経由しての進学も可能です。
サンシャインコースト大学|Bachelor of Design(Interactive and UX Design)
サンシャインコースト大学(University of the Sunshine Coast)では、 Bachelor of Design(Interactive and UX Design)の専攻として、インタラクションとUXを組み合わせて学ぶことができます。
- 都市:サンシャインコースト
- 期間:3年
- 入学時期:2月/7月
- 入学要件:日本の高校卒業資格、IELTS 6.0(各5.5以上)目安
リゾートエリアに近い落ち着いた環境で、デジタルデザイン・インタラクション・UXの基礎から応用までを学びたい方に向いている大学です(現時点ではACS認定コースではありません)。
クイーンズランド大学|Bachelor of Information Technology(User Experience Design)
クイーンズランド大学(The University of Queensland)では、IT系学位のひとつとして Bachelor of Information Technology(User Experience Design)が開講されています。
- 都市:ブリスベン(セントルシアキャンパス)
- 期間:3年
- 入学時期:2月/7月
- 入学要件:Foundation(UQカレッジ等)修了+所定の成績、IELTS 6.5(各6.0以上)目安
- 認定:ACS認定コース
ITの土台(プログラミング・データベース・ネットワーク)にUXデザイン・インタラクションデザインを組み合わせて学ぶ構成で、 「テクノロジーに強いUXデザイナー」「UXも分かるITスペシャリスト」を目指したい方に適したプログラムです。
大学院レベルで学ぶインタラクションデザイン/UX
すでにデザインや関連分野で学士号を取得している方は、大学院でUX・インタラクションデザインに特化したコースを選ぶこともできます。代表例がクイーンズランド大学のInteraction Design系コースです。
クイーンズランド大学|Interaction Design 系コース
クイーンズランド大学では、学習期間に応じて次の3レベルから選択できます。
- Graduate Certificate in Interaction Design(約6か月)
- Graduate Diploma in Interaction Design(約1年)
- Master of Interaction Design(約2年/ACS認定)
いずれのコースでも、
- ユーザー中心設計(UCD)・ユーザー調査・プロトタイピング
- サービスデザイン・インタラクティブテクノロジーの応用
- プロジェクトベースの制作とプレゼンテーション
などを通じて、実務レベルのUX/インタラクションデザインスキルを身につけていきます。 特にMaster of Interaction Designは、IT査定団体であるACSの認定も受けており、将来的にオーストラリアでの就職やビザ申請を視野に入れる場合にもプラスになる可能性があります。
UXデザイン留学後に目指せる主なキャリア
UX・インタラクションデザイン系のコース修了後は、次のような職種を目指せます。
- UXデザイナー(User Experience Designer)
- UI/インタラクションデザイナー
- デジタルプロダクトデザイナー
- Web/アプリデザイナー
- サービスデザイナー
- デジタルプロデューサー・クリエイティブディレクター
実務では、ユーザーインタビュー、ペルソナ設定、カスタマージャーニー作成、ABテスト、アクセス解析、情報設計、プロトタイプ制作など、マーケティングや開発チームと連携しながらプロジェクト全体に関わるケースが多くなります。
こんな方にUXデザイン留学がおすすめ
- 「使いやすさ」「分かりやすさ」にこだわってモノづくりをしたい
- グラフィックだけでなく、体験全体を設計するデザインに興味がある
- デザイン × IT × ビジネスが交わる領域でキャリアを築きたい
- 海外のチームと協働しながら、英語でデザインの議論をしたい
- ポートフォリオを武器に、日本・オーストラリア・他の国での就職可能性を広げたい
ホテルやレストランで「細やかな気配りが行き届いていて感動した」という経験がある方は、そのホスピタリティをデジタルプロダクトで再現する仕事がUXデザインだと考えてみるとイメージしやすいかもしれません。
当センターの無料サポート内容

オーストラリア大学留学専門サポートセンターでは、UXデザイン・インタラクションデザイン分野に興味がある方に、次のようなサポートをすべて無料で行っています。
- 成績・英語力・ご予算を踏まえた大学・コース候補のご提案
- メルボルン大学/スインバーン/サンシャインコースト/クイーンズランド大学などの比較と絞り込み
- Foundation/Diploma/学士直入学/大学院から、最適な進学ルート設計
- 出願に必要な書類(ポートフォリオ・エッセイなど)の準備アドバイスと出願サポート
- 卒業後のキャリア・就職・ビザ戦略を見据えたご相談
「デザインとITを両方やりたい」「どの大学が自分に合うか分からない」といった段階でも大丈夫です。まずは情報収集としてお気軽にご相談ください。

