ビッグデータ、AI、DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が当たり前になったいま、多くの企業では、顧客情報や購買履歴、Webアクセスログ、センサー情報など、膨大な「データ」を日々蓄積しています。
しかし、データを集めるだけではビジネスの成果には結びつきません。そこから「どのような課題があるのか」「何を変えれば業績が伸びるのか」を読み取り、意思決定につなげる役割が求められています。これがビジネスアナリティクス(Business Analytics)の専門領域です。
オーストラリアの大学では、学士レベルからビジネスアナリティクスを専門的に学べるコースが開講されており、データ分析スキル+ビジネスの現場感覚をセットで養えるのが大きな特徴です。ここでは、オーストラリア大学留学専門サポートセンターの視点から、代表的なコースと進学ルートをご紹介します。
ビジネスアナリティクスとは?関連分野との違い
ビジネスアナリティクスの役割
ビジネスアナリティクスは、蓄積されたデータを統計やアルゴリズムで分析し、 「ビジネス課題を特定し、今後の戦略や施策をどう変えるべきか」を導き出す分野です。たとえば次のようなテーマに取り組みます。
- 売上や利益の推移をもとに、今後の需要を予測する
- 顧客離脱の兆候を捉え、離脱率を下げる施策を考える
- マーケティング施策別の効果を分析し、予算配分を最適化する
- 医療データをもとに、再入院リスクや治療計画の改善点を見つける
単なる「数字の分析」にとどまらず、経営・マーケティング・オペレーションの改善につなげることが求められます。
データサイエンスとの違い
同じ「データ」を扱う分野として、データサイエンス(Data Science)があります。データサイエンスは、統計・機械学習・プログラミングを駆使して、 大量のデータから有用なパターンやインサイトを抽出する“データの科学”と言えます。
一方、ビジネスアナリティクスは、 「そのインサイトを、ビジネスのどの課題解決にどう活かすのか」に重心があります。データサイエンスが「データから情報を取り出す」フェーズだとすると、ビジネスアナリティクスは「情報を元に意思決定とアクションにつなげる」フェーズだとイメージすると分かりやすいです。
ビジネスインテリジェンス(BI)との違い
ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence/BI)は、レポートやダッシュボードを通じて 「これまで何が起きてきたのか(過去と現在)」を可視化することが中心です。
- BI:過去〜現在の数字や傾向を見える化する(モニタリング・報告)
- ビジネスアナリティクス:BIで見えた結果の「理由」を分析し、将来どうなるか・どう手を打つかを予測・提案する
ビジネスアナリティクスは、「なぜそうなったのか」「この先どうなるのか」を扱い、将来に向けたシナリオを描く点が大きな違いです。
AIとの関係性
AI(人工知能)は、データをもとに高精度な予測や自動化を行う技術領域です。ビジネスアナリティクスで 「どのデータを、どの目的で予測・最適化したいのか」を設計し、その上でAIモデルを活用して精度を高めていく、という関係性にあります。
そのため、オーストラリアのビジネスアナリティクス系コースでは、 AIや機械学習の基礎内容が含まれていることも多く、AI人材としての土台づくりにもつながります。
なぜ今、ビジネスアナリティクスを海外で学ぶのか
- 日本では学士レベルで「Business Analytics」を専攻できる大学がまだ少ない
- 海外、とくにオーストラリアでは学部からビジネスアナリティクス専攻を持つ大学が複数存在し、実務との接続も強い
- AI・データサイエンス人材の不足が指摘される中、ビジネスアナリティクスの素養を持つ人材は企業からのニーズが高い
- 英語でデータ分析・レポーティングを行う経験は、グローバル企業や外資系企業でのキャリアにも直結する
「データが好き」「数字からストーリーを読み解くのが好き」という方にとって、ビジネスアナリティクス留学は、将来の選択肢を大きく広げる分野と言えます。
オーストラリアで学べるビジネスアナリティクスの代表的コース
ビジネスアナリティクスは、TAFEなどの専門学校ではなく、大学・大学院レベルで学ぶのが一般的です。ここでは、IT査定団体ACS(Australian Computer Society)の認可があり、かつBusiness Analyticsに特化したカリキュラムを持つ代表的な大学をご紹介します。
ディーキン大学|Bachelor of Business Analytics
ディーキン大学(Deakin University)は、メルボルンでACS認可のビジネスアナリティクス学士課程を提供している大学です。もともとはInformation Systems内の1専攻として扱われていましたが、現在はビジネスアナリティクスにフォーカスした独立プログラムとして構成されています。
- キャンパス:メルボルン
- コース名:Bachelor of Business Analytics
- 期間:3年
- 入学時期:主に2月/7月
- 入学要件(目安):日本の高校卒業資格、IELTS 6.0(各セクション6.0以上)相当
授業では、統計・プログラミング・データベース・ビジネスアナリティクス基礎に加えて、PythonやTableauなど、ビジネス現場でも使われる分析ツールを用いて実践的な分析スキルを身につけます。
また、IBM、Microsoft、Deloitte、Ernst & Young、PwC など、データ分析・コンサルティング業界の大手企業と連携しており、インターンシップや実プロジェクトを通じて実務経験を積める点も大きな特徴です。
高校の成績や英語力が直接入学の基準に届かない場合は、Diploma of Commerce などを経由して2年次編入を目指す進学パスも用意されています。
マッコーリー大学|Bachelor of Business Analytics
マッコーリー大学(Macquarie University/シドニー)も、ビジネスアナリティクス専攻を持つ代表的な大学です。シドニーでBusiness Analyticsの学士号が取得できる大学として、企業とのつながりも強いのが特徴です。
- キャンパス:シドニー
- コース名:Bachelor of Business Analytics
- 期間:3年
- 入学時期:2月/7月
- 入学要件(目安):日本の高校卒業資格、IELTS 6.5(各セクション6.0以上)相当
カリキュラムはディーキン大学と近い構成ですが、統計・データサイエンス系科目や分析ツール演習の比重がやや多めで、次のような内容を学びます(例)。
- プログラミング基礎・コンピュータサイエンスの基礎
- データベース設計・管理
- ビジネスインテリジェンスとレポーティング
- 応用統計学・多変量解析・データマイニング
- 企業統計・マーケティングデータの分析
マッコーリー大学へは、Diploma of Information Technology(提携カレッジ)を経由して2年次編入するルートもあります。英語や成績に不安がある方でも、段階的にビジネスアナリティクスを目指せる点がメリットです。
大学院レベルのビジネスアナリティクス・ビジネス分析コース
すでに日本で学士号を取得している方は、オーストラリアの大学院でビジネスアナリティクス・ビジネス分析を専門的に学ぶこともできます。ここでは代表的なコースをピックアップします。
クイーンズランド工科大学(QUT)|Master of Information Technology(Business Analysis)
クイーンズランド工科大学(QUT)の Master of Information Technology では、複数の専攻(メジャー)のひとつとしてBusiness Analysisを選択できます。
- キャンパス:ブリスベン
- コース名:Master of Information Technology(Business Analysis)
- 期間:2年(IT系学士号を持つ場合は1.5年に短縮されるケースあり)
- 入学時期:2月/7月
- 入学要件(目安):学士号+GPA4.0以上(7段階)、IELTS 6.5(各6.0以上)相当
ITの知識に加えて、要件定義・プロセス設計・システム導入におけるビジネスアナリストの役割を学び、ビジネスとITの橋渡しをする人材を育成する内容になっています。
グリフィス大学|Master of Information Technology(Information Systems and Business Analysis)
グリフィス大学(Griffith University)は、IIBA(International Institute of Business Analysis)の認定学術機関として指定を受けており、ビジネスアナリシスに関連した内容を体系的に学べます。
- キャンパス:ゴールドコーストなど
- コース名:Master of Information Technology(Information Systems and Business Analysis)
- 期間:2年(IT系学士号保持者は1.5年コースとなる場合あり)
- 入学時期:2月/7月/10月
- 入学要件(目安):学士号+GPA4.5以上(7段階)、IELTS 6.5(各6.0以上)相当
ビジネスプロセスの改善、情報システム導入プロジェクト、ステークホルダーとの調整など、ITとビジネスの両面からビジネスアナリストとしてのスキルを身につけることができます。
ディーキン大学|Master of Business Analytics
ディーキン大学では、大学院レベルでMaster of Business Analyticsを提供しており、学歴や職歴により1年/1.5年/2年とコース期間が異なります。
- キャンパス:メルボルン
- コース名:Master of Business Analytics
- 期間:1.5〜2年(条件を満たす場合は1年に短縮可)
- 入学時期:2月/7月/10月
- 入学要件(目安):学士号(分野や職歴に応じて必要単位数が変動)、IELTS 6.5(各6.0以上)相当
16単位(標準2年)のカリキュラムでは、統計・データマイニング・予測モデリング・可視化・ビジネス戦略・インターンシップなどを組み合わせて学び、データ分析を中心としたキャリアを目指す方向けの内容となっています。
このほか、ボンド大学などでもBusiness Data Analytics関連のコースが開講されており、希望するキャリアやバックグラウンドに応じて複数校を比較検討することが可能です。
ビジネスアナリティクス留学後に目指せる主なキャリア
コース修了後は、次のような職種を目指すことができます(職種名は一例です)。
- Business Analyst(ビジネスアナリスト)
- Data Analyst(データアナリスト)
- Customer Insights Manager(顧客インサイト担当)
- Business Process Improvement Specialist(業務改善スペシャリスト)
- Applications Modeller / Developer(分析モデル開発者)
- Management Consultant(経営コンサルタント)
- IT Planning Manager(IT戦略・企画担当)
- Forecasting / Behavioural Analytics担当
ITスキルとビジネス理解の両方が求められるため、企業内のDX推進部門・ITコンサル・総合コンサル・マーケティング領域など、活躍できるフィールドが幅広いのが特徴です。
こんな方にビジネスアナリティクス留学がおすすめ
- 数字やデータを見るのが好きで、論理的に物事を考えるのが得意
- IT・統計・ビジネスをバランス良く学びたい
- AI・データサイエンスに興味があり、ビジネスへの活かし方も学びたい
- 将来はコンサルティング、企画職、データ分析職などで活躍したい
- 日本国内だけでなく、海外や外資系企業も視野に入れてキャリアを考えたい
当センターの無料サポート内容

オーストラリア大学留学専門サポートセンターでは、ビジネスアナリティクスやデータサイエンス系コースを希望される方に、次のようなサポートをすべて無料で行っています。
- 成績・英語力・ご予算に基づいた大学・コースの候補提案
- ディーキン大学・マッコーリー大学・QUT・グリフィス大学など、複数校の比較と絞り込み
- Foundation/Diploma/学士・大学院直入学など最適な進学ルートの設計
- 出願書類(エッセイ・CV など)のアドバイスと出願手続き代行
- 入学後の専攻変更や大学院進学、就職・永住権を見据えたキャリア相談
「自分の成績と英語力で、どの大学・どのレベルから目指せるのか知りたい」という情報収集段階のご相談も歓迎です。ビジネスアナリティクス留学に少しでも興味があれば、まずはお気軽にお問い合わせください。

