オーストラリアでは、言語療法士(Speech Pathologist)は、看護・理学療法・作業療法と並ぶ主要な医療専門職のひとつです。
発声や聴覚、言語発達、脳疾患や外傷による言語障害などに対し、発音・理解・嚥下・コミュニケーション機能を回復・支援する専門家として、病院・学校・福祉施設など幅広い領域で活躍します。
本記事では、オーストラリアでSpeech Pathologistとして働くために必要な大学・大学院での進学ルート、入学要件、学費、資格登録制度を、留学生向けにわかりやすく解説します。
オーストラリアの言語療法とは?
言語療法(Speech Pathology)は、発声や言語理解・発達・聴覚・嚥下などの問題を持つ人々に対し、科学的根拠に基づいた評価・訓練・リハビリテーションを行う医療行為です。
学ぶ内容は英語そのものではなく、音声・発話・認知・神経科学・発達心理学・聴覚学など、言語機能を支える生理・心理・社会的要素全体に及びます。
英語が母語でない学生でも、言語の仕組みや学習の困難さを理解している点が強みとなり、留学生の活躍も多い分野です。
言語療法士になるには?(登録ルート)
オーストラリアで言語療法士として登録・就業するためのルートは2つあります。
① オーストラリア国内の認定大学・大学院を修了する
- Speech Pathology Australia(SPA)認可プログラムを修了
- 学士号(Bachelor)または修士号(Master)でFull Accreditationコースを履修
② 海外資格保持者として査定を受ける
すでに海外で言語療法士資格を持つ場合、SPAが定める基準(学歴・職歴・英語力)を満たせば直接登録を申請可能です。
ただし、日本の学士号保持者は原則オーストラリアでの学位取得が必要です。
英語力要件
言語療法は、医療系の中でも最も高い英語力が求められる分野です。
- IELTS Academic 7.0〜8.0(全セクション7.0以上)
- または OET 各Band 350〜500以上
英語要件を満たしていない場合は、まずIELTS7.0以上の取得を目標に、英語準備+進学をセットにしたパッケージプランを設計するのが現実的です。
認定制度と学位構成
言語療法の資格は、Speech Pathology Australia(SPA)によって管理されています。
大学・大学院のコースは以下の認可レベルに分類されます:
- Full Accreditation:完全認可(登録可能・最短ルート)
- Provisional / Qualifying:暫定認可(条件付き登録)
留学生の場合、確実に登録可能な「Full Accreditation」認定校での履修が推奨されます。
学位構成は以下の2種類です。
- 学士号(Bachelor of Speech Pathology):4年間
- 修士号(Master of Speech Pathology):2年間(学部不問で進学可)
Full Accreditation 認定校(学士・修士開講大学)
| 大学名 | 学位 | 期間 | 都市 | 学費(年) | 英語要件 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| The University of Sydney | Bachelor / Master | 4年 / 2年 | シドニー | 約$62,800〜66,000 | IELTS7.0(各7.0) | 世界トップランクの臨床教育。人気・競争率ともに非常に高い。 |
| The University of Queensland | Bachelor / Master | 4年 / 2年 | ブリスベン | 約$53,760〜62,700 | IELTS7.0(Speaking8.0) | 臨床実習重視。英語・心理・医療科学の統合型教育。 |
| Flinders University | Bachelor / Master | 4年 / 2年 | アデレード | 約$44,500〜51,900 | IELTS7.0(各7.0) | 少人数制。アセスメント・臨床現場連携が充実。 |
| Curtin University | Bachelor / Master | 4年 / 2年 | パース | 約$42,600〜46,600 | IELTS7.0(各7.0) | 実践的な実習環境と地域医療との強い連携が特徴。 |
学士課程のみ Full Accreditation の大学
| 大学名 | 学位 | 都市 | 学費(年) | 英語要件 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Australian Catholic University(ACU) | Bachelor | シドニー・メルボルン・ブリスベン | 約$42,300 | IELTS8.0(各8.0) | 厳しい英語要件だが、学部卒業後のSPA登録に直結。 |
| James Cook University(JCU) | Bachelor | タウンズビル | 約$42,600 | IELTS8.0(各8.0) | 地方・先住民地域での臨床実習を重視。 |
| Southern Cross University(SCU) | Bachelor | ゴールドコースト | 約$32,500 | IELTS8.0(各8.0) | 実践的な地域密着型教育。コスパ良好。 |
| Edith Cowan University(ECU) | Bachelor | パース | 約$41,800 | IELTS8.0(各8.0) | 学生支援が手厚く、国際学生も多い。 |
修士課程のみ Full Accreditation の大学院
| 大学名 | 学位 | 都市 | 学費(年) | 英語要件 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Macquarie University | Master of Speech Language Pathology | シドニー | 約$61,100 | IELTS7.0(各7.0) | 言語学・心理学バックグラウンド歓迎。Personal Statement必須。 |
| University of Technology Sydney(UTS) | Master of Speech Pathology | シドニー | 約$62,100 | IELTS7.0(各7.0) | 解剖学・生理学履修必須。実践的な臨床教育に強み。 |
| Griffith University | Master of Speech Pathology | ゴールドコースト | 約$48,000 | IELTS7.0(各7.0) | 近年人気上昇。オンライン面接で国際学生にも柔軟対応。 |
| La Trobe University | Master of Speech Pathology | メルボルン | 約$46,800 | IELTS7.5(各7.0) | 高い選考基準。推薦状と課題提出が必要。 |
| The University of Melbourne | Master of Speech Pathology | メルボルン | 約$64,000 | IELTS7.0(各7.0) | 研究・臨床の両立が可能。WAM65%以上推奨。 |
入学難易度と選考の流れ
Speech Pathologyはオーストラリア国内でも最も競争率が高い医療系専攻のひとつです。
IELTS基準を満たしていない出願は基本的に審査対象外となるため、まず英語スコア提出→学歴審査→面接(10〜11月)の流れで選考が行われます。
IELTSスコアが揃っていないとConditional Offer(条件付き合格)も発行されません。
出願前にIELTS7.0以上のスコア確定+必要書類(成績・推薦・CV)を揃えておきましょう。
卒業後の登録とキャリア
修了後、Speech Pathology Australia(SPA)に登録することで正式な言語療法士として活動できます。
登録後は、以下のような幅広い分野での就職が可能です。
- 公立病院・クリニック(発声・嚥下・発達障害支援)
- 学校・教育機関(発達支援・ことばの教室)
- 高齢者・リハビリ施設(嚥下・構音訓練)
- NGO・研究機関・大学など
オーストラリア政府の雇用統計によると、言語療法士は2025年までに10%以上の需要増加が見込まれています。
留学準備のステップ
- IELTS(Academic)を受験
- 目標スコア:7.0〜8.0(各7.0以上)
- 日本国内の主催団体:日本英語検定協会・IDP・JSAF
- 必要書類の準備
- 最終学歴の卒業証明書・成績証明書(日本語+英語)
- IELTSスコア証明書
- パスポートコピー
- オンライン出願
- 書類確認後、大学へ正式出願 → 面接選考 → 合格通知(Offer Letter)
無料カウンセリングのご案内

オーストラリア大学留学専門サポートセンターでは、Speech Pathologyコース進学希望者向けに以下を無料でサポートしています。
- あなたの英語力・学歴に合わせた大学選定
- IELTS7.0達成までの学習プラン設計
- 志望理由書(GTE)・Personal Statementの添削
- CoE発行・学生ビザ申請サポート
🎓 「医学・教育の両面から人を支えたい」
そんなあなたの挑戦を、現地提携大学とともに全面的にサポートします。

