「絵や写真を仕事にしたい」「自分の作品で表現していきたい」「海外でアートを学んでみたい」――そんな方にとって、アート教育が盛んなオーストラリアは有力な選択肢のひとつです。
ここでは、オーストラリア大学留学専門サポートセンターの視点から、
- ビジュアルアートではどんなことを学ぶのか
- TAFEと大学、どちらが自分に合うのか
- 将来のキャリアや就職の方向性
- おすすめの学校とコース情報
をまとめてご紹介します。
ビジュアルアートとは?どんな勉強をする分野?
ビジュアルアート(Visual Arts)は、文字どおり「視覚芸術」を扱う分野です。例えば次のような表現を含みます。
- 絵画(油彩・アクリル・水彩など)
- 版画(木版・銅版・シルクスクリーンなど)
- 彫刻・立体造形
- デジタルアート・映像
- 写真表現
- 陶芸・セラミック など
オーストラリアのアート教育では、設備の整ったスタジオで作品制作にじっくり取り組める環境が整っています。学位レベルが上がると、個人専用の制作スペースが与えられることも多く、自分のペースで作品世界を深めていくことができます。
授業では、制作実技だけでなく、次のような内容も学びます。
- アートの歴史・理論
- コンセプトメイキング(作品のテーマ設計)
- プロとしてのポートフォリオ制作
- 展示計画・キュレーションの基礎
- アーティストとしての自己PRや文章表現(アーティストステートメント等)
多くのコースでは、最終学年に卒業展やグループ展があり、一般の観客や業界関係者に向けて作品をお披露目する機会も用意されています。
ビジュアルアートを学ぶなら TAFE と大学どちらが良い?
ビジュアルアートは、オーストラリアの TAFE(職業専門学校) と 大学(Bachelorコース) のどちらでも学ぶことができます。それぞれの違いを整理してみましょう。
TAFE でビジュアルアートを学ぶ場合
- コース期間:半年〜1年程度(Certificate〜Diploma)
- 英語力の目安:IELTS 6.0 以上(コースにより異なる)
- 取得できる主な学位:Certificate、Diploma、Advanced Diploma
TAFE の特徴は「実技中心で、現場に近い実践的な学び」です。
- 課題制作を通して、多様な技法・画材を幅広く体験
- 自分の興味に合わせて選択科目を組み合わせることが可能
- Diploma 修了後、そのまま個人活動を始める人もいれば、提携大学の2年次に編入する学生も多い
「まずは1年間、集中的にアート制作に浸りたい」「その後、大学編入も視野に入れたい」という方には、TAFE スタートのルートも有力です。
大学(Bachelor)でビジュアルアートを学ぶ場合
- コース期間:通常3年間
- 英語力の目安:IELTS 6.0〜6.5 以上
- 取得できる主な学位:Bachelor of Visual Arts / Fine Arts など
大学では制作だけでなく、より学術的・理論的な内容が増えます。
- アート理論、美術史、批評、リサーチ
- エッセイ執筆やプレゼンテーション
- 専門分野(ペインティング、写真、彫刻、デジタルアートなど)に特化した研究
「将来的に大学院進学も見据えたい」「理論やリサーチも含めてアートを体系的に学びたい」という方には大学進学が向いています。
どのルートが合うかは、
- 留学にかけられる期間・予算
- 将来どのような働き方をしたいか
- 実技と理論のバランスをどうしたいか
によって変わります。当センターでは、希望やバックグラウンドを伺いながら、TAFE・大学・大学院を含めて最適な進学ルートをご提案しています。
アート・クリエイティブ業界と就職のイメージ
アート・クリエイティブ業界は、「何かを生み出すこと」そのものが仕事になります。個人事業として活動するアーティストもいれば、企業やスタジオに所属して働く人もいます。
アート業界の仕事例
- 画家、版画家、イラストレーター
- 彫刻家、陶芸家
- フォトグラファー、絵本作家
- パブリックアーティスト(公共空間のアート制作)
- ジュエリー/ファッションデザイナー
- アート講師・アートセラピスト
- アートライター、キュレーター など
活動の場も、作品販売・個展開催・マーケット出店・ギャラリー運営など多岐にわたります。
クリエイティブ業界の仕事例
- Web/グラフィックデザイナー
- プロダクトデザイナー
- 映像・ゲーム・アニメーション・広告関連のアートディレクター
- 雑誌やWebメディアのビジュアル担当・ライター など
デザイナー職を求める企業は業界を問わず多く、スキル次第ではフリーランスとして仕事を受けることも可能です。実際に、TAFEや専門コース卒業後に、大学進学をせず個展やオンライン販売を通じてキャリアを築いている卒業生もいます。
オーストラリアでビジュアルアートを学ぶ魅力
自分の「スタイル」を伸ばす教育方針
オーストラリアのアート教育は、単に「上手に描く」ことよりも、
その人らしい捉え方や表現スタイル を尊重してくれます。
- 正確な写実よりも、個性やコンセプトを重視
- 先生も学生も、それぞれ異なるスタイルを持っている
- 批評やディスカッションを通じて、自分の作品を言語化していく
「型にはめられたくない」「自分の世界観を大事にしたい」という方には、とてもマッチしやすい環境です。
日常的にアーティストや作品と出会える環境
- クラフトマーケットやアートマーケットが各地で定期開催
- 出店しているのは、現役で活動しているアーティスト・デザイナー本人
- ワークショップやオープンスタジオに参加し、直接話ができる機会も多い
作品の裏側にあるストーリーを作家本人から聞く経験は、制作のモチベーションにも大きく影響します。
美術館・ギャラリー・ストリートアートが身近
- 多くの都市で、美術館やギャラリーに無料で入館可能
- 大規模な企画展から小さなギャラリーの個展まで、ジャンルも多彩
- シティの街並みそのものがキャンバスのようなストリートアート文化
オーストラリアのアーティストは、広大な自然や多文化社会から影響を受け、色彩や構図も大胆でのびのびとした作品が多いのも特徴です。
作品のモチーフが日常に溢れている
- 透明度の高いビーチや川の光
- 個性的な植物・花や、歴史ある建物、路地、カフェ
- コアラやカンガルーをはじめとするオーストラリアの動物たち
- 多国籍な人々が行き交う街の風景
日々の生活そのものがインスピレーションの源になる、という意味でもアート留学との相性が良い国といえます。
授業で学ぶ科目の一例
ここでは、TAFE Queensland の Diploma of Visual Arts を例に、よく履修する科目イメージをご紹介します。
ペインティング(Painting)
- 水彩・アクリル・油彩などの技法
- 画材の扱い方、色彩理論
- 小作品の連作から大きなキャンバス作品まで、表現の幅を広げる
ドローイング(Drawing)
- 光と影の捉え方(静物デッサン・人物デッサンなど)
- 鉛筆・木炭・パステル・インクなど多彩な画材
- 線・陰影・質感表現の基礎を徹底的に磨く
デジタルアート(Digital Arts)
- パソコンやタブレットを使った制作
- Photoshop や Adobe 系ソフトの操作
- 画像編集・コラージュ・簡易動画制作など
版画(Printmaking)
- 木版・銅版・シルクスクリーンなどの技法
- プレス機の扱い方やインクの調整
- 1枚の版から多様な作品を生み出すプロセス
陶芸(Ceramics)
- ハンドビルディングや板作りなどの成形技法
- 釉薬・焼成の基礎
- 器からオブジェまで、立体表現を土で追求
彫刻(Sculpture)
- 木・金属・石・樹脂など、さまざまな素材を扱う
- 立体構造、バランス、展示方法の検討
- インスタレーション的な表現に発展するケースも
座学科目(Theory / Professional Practice)
- 近現代美術史やアート理論
- アーティストステートメントの書き方
- プレゼンテーション・ディスカッション
- 卒業制作・展示のプランニング
- 進学・就職・フリーランス活動の準備
制作の熱量に加えて、英語での発信力・コミュニケーション力も自然と鍛えられていきます。
入学時にどの程度の作品スキルが必要?
アート・クリエイティブ系のコースでは、多くの場合 ポートフォリオ(作品資料) の提出が必要です。
- これまで制作した 2D・3D 作品の写真
- スケッチブックやドローイングの一部
- 応募校から指定されたテーマ・点数に沿った新作
「プロレベルの完成度」である必要はありませんが、
- 自分なりの視点や興味が伝わる作品
- 複数の技法・モチーフに挑戦していること
- 継続的に制作していること
が分かるポートフォリオが理想です。
出願条件・ポートフォリオ課題は学校によって異なるため、早めの情報収集と準備が重要です。当センターでは、過去の合格事例も踏まえたポートフォリオ準備のアドバイスも行っています。
オーストラリアでビジュアルアートを学べるおすすめの学校
ここでは、専門学校(TAFE)を中心に、ビジュアルアートを実践的に学べる代表的な学校をご紹介します。
TAFE Queensland(テイフ・クイーンズランド)
ブリスベンの人気エリア・サウスバンクにメインキャンパスを構える公立専門学校。
近隣にはブリスベン川、美術館やパフォーマンスセンター、カフェやショップが立ち並ぶ、クリエイティブな環境です。
特徴:
- クラスはローカル学生が中心で、留学生は一部のみ
- 現役で活動するアーティストが講師を務めることも多い
- スタジオは授業時間外の利用も可能で、制作に没頭しやすい
Diploma of Visual Arts
- 入学:1月、7月
- 留学先:ブリスベン
- 期間:1年
- 学費:年間 A$22,000(2025年度)
- 入学条件:IELTS 6.0(各5.5以上)、高校卒業
RMIT University TAFE(アールエムアイティー大学/TAFEコース)
デザイン・アート系で評価の高いメルボルンの RMIT は、TAFE レベルのアートコースも充実しています。
Diploma of Visual Arts
- 入学:2月
- 留学先:メルボルン
- 期間:1年
- 学費:年間 A$24,500(2025年度)
- 条件:IELTS 5.5(各5.0以上)、高校卒業、成績 50%以上(目安)
Advanced Diploma of Visual Arts
- 入学:2月
- 留学先:メルボルン
- 期間:1年
- 学費:年間 A$24,000(2025年度)
- 条件:Diploma of Visual Arts 修了
TAFE South Australia(テイフ・サウスオーストラリア)
アデレードでビジュアルアートを学べる公立専門学校です。
Certificate IV in Visual Arts
- 入学:1月、7月
- 留学先:アデレード
- 期間:1年
- 学費:年間 A$17,420(2025年度)+教材費約 A$700
- 条件:IELTS 6.0(各5.0以上)、高校卒業
将来的に大学進学も視野に入れる場合、これらの TAFE で基礎を固めてから、ファインアートやデザイン系の Bachelor へ編入していくパターンもよく見られます。
オーストラリアでビジュアルアート留学を目指す方へ

ビジュアルアート留学とひとことで言っても、
- TAFE から始めて実践スキルを付けたい
- 最初から大学で Fine Arts/Visual Arts の学位を取りたい
- 日本の大学卒業後に、ポートフォリオを強化しつつ大学院進学を目指したい
など、最適なプランは一人ひとり異なります。
オーストラリア大学留学専門サポートセンターは、オーストラリア全土の大学の正規出願窓口であると同時に、TAFE・専門学校・語学学校の正規代理店として、多彩な進路をご提案できるのが強みです。1つの窓口で、大学・TAFE・専門学校・語学学校を横断して比較しながら、ご希望に合う進学ルートを一緒に整理していきます。
- 希望内容/英語力/学歴/予算のヒアリング
- TAFE・大学・大学院・語学学校を組み合わせた留学プランの提案
- 出願条件(英語・ポートフォリオなど)の確認
- 願書提出〜合格後の渡航準備・現地生活サポート
まで、すべて無料でサポートしています。
オーストラリアの専門学校・TAFE・大学でビジュアルアートを学んでみたい方は、まずはお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

